「靴や足の悩み無くしたい」 “デコボコ”な30代夫婦が営む靴修理店 震災をきっかけに信州に移住

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 長野市の繁華街の一角に小さな靴修理の店があります。営んでいるのは都会から信州に移り住んだ30代の夫婦です。靴や足に関する悩みを無くしたいと二人三脚で取り組んでいます。

 長野市の繁華街・権堂の一角にある靴修理の店「Deco Boco(デコボコ)」。営んでいるのは若い夫婦です。

 すり減った靴底を専用の機械で削るのは夫の中尾勇哉さん(32)。靴の修理の担当しています。

 靴が好きで、大学卒業後、製靴学校で技術を学び職人になりました。

中尾勇哉さん:

「大抵何でも直せます。大手の店だと来ないような修理内容が来て、試行錯誤しながらやって、やれるようになったのがすごく大きい」

 妻の春子さんは、靴の中敷きを担当。作業療法士の知識を生かし、足のサイズや重心のかかり具合を計測して、それぞれの足にあった中敷きを作っています。

妻・春子さん:

「私も外反母趾気味で痛かったので、中敷きの勉強を始めた。自分の足に興味を持ったり靴に興味を持ったりという形で、みなさんにも足に関心を持ってほしい」

 店名の由来は・・・。

妻・春子さん:

「身長差から『デコボコ』と名付けました。私が153センチで、夫が188センチです」

 2人はともに横浜市の出身。長野で店を開いたきっかけは、勇哉さんにあります。

中尾勇哉さん:

「東日本大震災を機に都会の生活に疑問を持って、『このままでいいんだろうか』と」

 横浜で靴修理の職人として働いていた勇哉さん。2011年の東日本大震災を機に地方の生活を見直そうと、翌年、小川村の地域おこし協力隊員になり、築250年の古民家で農家民泊に取り組みました。

中尾勇哉さん:

「都市部とは違った価値観で動いているなと思いました。時間とかお金に対しても。長野の生活リズムが自分に合っていたのが一番大きい」

 当時、交際中だった春子さんも、小川村をよく訪れていたそうです。

妻・春子さん:

「星がきれいなのがよかった。空気もきれいだし、北アルプスが見えるのもよかった」

 村での生活を気に入り、任期後も住み続ける予定でしたが、2014年の神城断層地震で、古民家が半壊ー。

 一度、横浜に戻りますが、勇哉さんは信州での生活が忘れられず、春子さんと結婚後、再び長野市に移住。2017年10月に店をオープンしました。

中尾勇哉さん:

「長野にあまりこういうお店がなかったと感じたので、自分たちにできることからやってみようかというのがスタート」

 店には、靴や足に関する様々な悩みを持つ客が訪れます。

客:

「ここが割れてしまって」

中尾勇哉さん:

「とりあえず一か所換えてみますか。それで様子見ますか」

 靴ひもを通す金具が壊れてしまったという相談です。すぐに代わりの部品を見つけ、5分ほどで交換。しっかりひもが結べるようになりました。

客:

「即日で治るものと思っていなかった。また履けるようになったのでうれしい」

 自分にできる依頼は何でも引き受けている勇哉さん。去年10月にはこんな依頼もありました。

中尾勇哉さん:

「家も大変だろうし、片付けもあるタイミングで靴を直しにくるのは、そんなに大切な靴なんだと。ちゃんとやんなきゃと」

 泥だらけの靴。台風19号災害で浸水被害に遭った靴の洗浄です。

中尾勇哉さん:

「臭いや細かい粒子がすごくて大変だったけど、洗浄して普通に履けるくらいにはなったので、喜んでいただいた感じだった」

 2人とも平日は他で働き、店の営業は土日のみですが、様々な靴や足の悩みに向き合ってもうすぐ2年半がたちます。

妻・春子さん:

「悩みに対応することで、痛みがなくなってしっかり歩いて健康維持してもらえる感じになればいい」

中尾勇哉さん:

「長野は車社会だから、そこまで靴にお金かけるという価値観の人はないのかなと思っていたんですけど、困っている方はいっぱいいた。足とか靴の困りごとを地域から無くしたいと思っている」

 「デコボコ」な2人が、足元の悩み解決のためニ人三脚で奮闘しています。