池江選手告白の「白血病」治療法が劇的進化!もはや“不治の病”ではない

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  • 白血病は不治の病ではない
  • 「急性」と「慢性」では症状も治療法も全く異なる
  • 遺伝子や染色体が傷つく原因は諸説あるがわかっていない

造血される過程で細胞が「がん化」

競泳女子の池江璃花子選手(18)が、白血病の診断を受けたことを自身のツイッターで明かしました。「私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」としながらも、「しっかり治療をすれば完治する病気でもあります」と前向きな言葉がつづられています。

池江選手の言葉通り、白血病は今や不治の病などではありません。化学療法や支持療法、骨髄移植などの進歩は劇的で目覚ましく、多くの患者さんが病いを克服し、社会復帰をされています。

白血病は血液のがんです。血液細胞には赤血球、血小板、白血球があります。すべての細胞の源である造血幹細胞から、それぞれの細胞になるまでには何段階もの細胞分化を経ますが、そのいずれかの段階で白血球またはリンパ球になる細胞が異常に増えてしまう病気です。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し、骨髄を占拠してしまうため、正常な血液細胞が減少します。

「急性」と「慢性」は全く別の疾患

白血病は、がん化した細胞のタイプから「骨髄性」と「リンパ性」に分けられ、さらに病気の進行パターンや症状から「急性」と「慢性」に分けられます。
※急性骨髄性白血病56%、急性リンパ性白血病19%、慢性骨髄性白血病22%、慢性リンパ性白血病3%(日本人ではまれとされる)
他の疾患のように、急性白血病の経過が長引いても、慢性白血病になる訳ではありません。白血病の急性および慢性は、それぞれ異なった疾患なのです。急性白血病は、急激に発症し、顕著な貧血や白血球増加、血小板減少(出血傾向)を示すことから迅速な治療が必要となります。一方、慢性白血病の白血球数は著明に増加するのですが、症状のないことも多く、健康診断で偶然に見つかることも多いようです。しかし、最終的には急激に悪化(急性転化)しますので、この急性転化を遅らせるような長期にわたる適切な治療が必要になってきます。

白血病の症状と原因は?

池江選手がいずれの白血病かはまだ判明していないとのことですが、1月のレース後には「体のだるさを感じることが多くなっている」「疲れの抜けが遅くなっている」と話していました。
白血病の症状には、どのようなものがあるのでしょうか。

急性白血病では、異常な白血病の細胞が増えることで、息切れや動悸などの貧血症状や、生理が止まりにくい、青あざができやすいなど血が止まりにくい症状が出ることがあります。また、全身で炎症が生じるため、熱やだるさなどの風邪のような症状が日増しにひどくなる場合や、抑うつなどの症状が現れることもあります。慢性白血病は、初期には症状がないか、あっても軽い場合が多いとされています。

会見で日本水泳連盟の副会長は、「まさか、このような病名を言われるとは思っていなかった」とも述べています。

白血病の原因とは何なのでしょうか。白血病をはじめ、一般的にがんは、遺伝子や染色体に傷がつくことで発症すると考えられています。たとえば慢性骨髄性白血病では、患者さんの95%以上でフィラデルフィア(Ph)染色体という異常な染色体が見つかります。遺伝子や染色体に傷がつく原因として、放射線、ベンゼンやトルエンなどの化学物質、ウイルスなどが挙げられていますが、そのしくみは完全には解明されていません。また、白血病は遺伝もしません。親が白血病であったとしても、子どもが必ず白血病になるわけではありません。

進歩を続ける治療法

治療法ですが、急性白血病では、まず複数の抗がん剤を組み合わせた寛解導入療法を行って、数週間で骨髄の白血病細胞を完全に死滅させます。その後、正常な骨髄の細胞のみが増えて回復してきた頃に、わずかに生き残った腫瘍細胞を消滅させるための寛解後療法(地固め療法、および維持強化療法)を行います。慢性骨髄性白血病の薬物療法には、分子標的治療薬、化学療法、インターフェロン‐α療法があり、白血病細胞を減少させ、症状を抑える効果があります。

治療の効き具合によって、あるいは再燃時には、さらに踏み込んだ治療が必要な場合があります。ヒト白血球型抗原(HLA)が一致する、適切なドナーがいる患者では、造血幹細胞移植を行うケースもあります。その後再発がみられないことを定期的な外来診療で確認していきます。とはいえ、急性・慢性ともに、良い薬が新たに登場しています。実用化に向けて、治験が進んでいる新しい薬剤もあります。

日本水泳連盟の会見では、担当医師から早期発見だったと伝えられたことに加え、「(池江選手は)白血病に必ず勝つんだという姿勢を見せている」「本当に我々大人が頭が下がる」とも述べられました。

池江選手の一日も早い回復を祈りたいと思います。

医師 小林 晶子(医学博士)

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