仁義なき「ふるさと納税」バトル!総務省に従わない理由を大阪・泉佐野市に聞いた

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  • ふるさと納税で初めて100億円を集めた泉佐野市による前代未聞の奇策
  • 総務大臣の批判に対し、泉佐野市もすぐ反論コメント
  • 担当者「法制化されれば遵守します」

「なくなり次第終了 Amazonギフト券付きふるさと納税 100億円還元 閉店キャンペーン!」

こんな奇策を打ち出したのは大阪府泉佐野市
このキャンペーンは、「さのちょく」という泉佐野市の直営サイトから申し込むと、返礼品に加えて納税額の10%、または20%のAmazonギフト券が「プレゼント」されるというもので、100億円分のAmazonギフト券がなくなるか、または3月31日になるまで続けるという。
他の民間ポータルサイトで必要だった手数料が不要になるため、その分を寄付者に還元するとしている。

100億円キャンペーンといえば、昨年12月のスマホ決済「PayPay」のキャンペーンが記憶に新しいが、こちらは人気急騰により予想より早く終了してしまった。

泉佐野市のキャンペーンはどうなるのかというのも気になるが、ふるさと納税を巡っては、国と自治体の対立がここへきてさらに激化している。

仁義なき「ふるさと納税」バトル

そもそもふるさと納税とは、好きな自治体に寄付した金額から「2千円」を引いた金額が、翌年の所得税と住民税から控除されるという制度で、実質2千円で地域の名産品などが手に入ると、制度ができた2008年からすぐ人気に火が付いた。
すると、より多くの寄付金を集めるため、高額な返礼品を用意する自治体が現れ、“仁義なき返礼品バトル”とでも言えそうな競争が激化。
以前編集部でも、地元に限らない全国の名産品や、返礼率45%の返礼品で人気を集め、2017年度は全国トップの135億円という寄付を集めた泉佐野市を取材した。

一方、この事態を快く思わなかったのは、ふるさと納税を取り仕切っている総務省。
過熱する事態を沈静化しようと、「返礼品は地場産品」「返礼率は30%以下」「金券は自粛」とするよう全国の自治体に呼びかけた。
さらに、従わない自治体をこの制度から除外しようと、今年6月の法改正を進めているという。

しかし、現段階の総務省の呼びかけには法的拘束力がない。
静岡・小山町は、去年の4~12月の間に返礼率40%のAmazonギフト券やクオカードを扱うなどの方法で249億円を集め、1月に石田真敏総務大臣から名指しで苦言を呈されたばかりだが、2月、今度は泉佐野市が前代未聞の100億円キャンペーンを打ち出した。

出典:泉佐野市

ところが直後の2月8日、今度は政府が対抗策に打って出た。
「返礼品は地場産品」、「返礼率は30%以下」に違反する自治体に寄付した者は、今年6月から税の優遇を受けられなくなるという地方税法の改正案を閣議決定したのだ。

石田総務大臣は、会見で泉佐野市を名指しで批判したが、同市もその日のうちに反論コメントを発表し、徹底抗戦の構えを見せている。

【石田総務大臣】
「泉佐野市が新たにキャンペーンでプレゼントするというギフト券はふるさと納税制度の根幹を揺るがし、制度の存続を危ぶませるものと考えています」
「制度の隙間を狙って明らかに趣旨に反する返礼品によって寄付を多額に集めようとすることは、自分のところだけが良ければ他の自治体への影響は関係がないという身勝手な考えであり、悪影響が大きい」

【泉佐野市コメント】
「法制化に向けた閣議決定や、総務大臣のコメントを拝見していると、総務省の見解だけで強硬に物事を推し進め、無理やり地方を押さえつけようとしているように思われ、それこそが地方分権という理念の『趣旨』に反するのでないかと考えています」

泉佐野市は反旗を翻した形だが、国の方針をどう捉えているのか?また「閉店キャンペーン」というからには3月31日でふるさと納税をやめるのか?担当者に聞いてみた。

「Amazonギフト券は返礼品ではなく特典」

――100億円キャンペーンの反響は?

たいへん多くの反響をいただき、ありがたく思っていますが、現在アクセスが集中しサイトが繋がりにくくなっております。
ご利用の皆様にはご迷惑をお掛けしていることお詫び申し上げます。


――「Amazonギフト券をプレゼントする」としているが、これは返礼品ではない?

アマゾンギフト券は、あくまでも返礼品ではなく、本市が本キャンペーンご利用者にサービス特典として付与するものです。
キャンペーンを実施するにあたり、寄附者の満足度やモチベーションを上げるものとして Amazon ギフト券が一番効果が高いと判断しました。
amazon ポイントなどの金券そのものを返礼品にする取り組みとは全く別物と考えています。


――返礼品の返礼率は何%?

Amazonギフト券10%の返礼品は4~4割5分、Amazonギフト券20%の返礼品は3割以下となっております。


――「閉店キャンペーン」としているが、3月31日でふるさと納税をやめるの?

誤解を招きかねない表現を使用していることはお詫びいたしますが、これは特設サイト「さのちょく」の閉鎖や、本市がふるさと納税から撤退すると正式に決定したことを表しているわけではありません
4月以降は法制化によって、総務省が示している基準(返礼率3割、地場産品のみ)に該当しない返礼品の提供ができなくなるため、「閉店」という表現を使わせていただきました。


法制化されれば遵守します!

――総務省は「返礼品は地場産品」「返礼率は30%以下」「金券は自粛」を求めているのに、なぜ従わない?

本市が昨年から申し上げていることですが、ふるさと納税の返礼品に関するルールや基準は、総務省が独断で決めるものではなく、自治体、有識者、国民世論などを含めて、幅広く議論を行い、大多数が納得できるものをつくるべきだと考えております。
総務省は一方的に決めた基準を守らない自治体を「良識がない」「悪質」と決め付けていますが、自治体と何の議論もなしに法制化に突き進んでいるのは「良識がある」といえるのでしょうか?


――総務省の通達を守らない自治体を制度対象外とする法改正が進んでいることをどう思う?

まだ法案の文章も明らかになっていない段階ですので、本市としてはこれまで主張してきた見解とスタンスに沿った施策を実施しています。
仮に法制化された場合は、法を遵守するのは自治体としては当然のことだと考えています。
また、総務省の規制を守った場合でも参加できる事業者はありますが、地場産品の規制において、現在登録している市内約 140 社のうち半数以上が今後ふるさと納税制度から排除されることになります。
これまで本市のふるさと納税を支えてくれている民間事業者やスタッフの業務や雇用を一定期間維持することが必要だと考えております。


――ふるさと納税から除外されたらどうなる?

法制化によってふるさと納税に関われなくなれば、大きな影響を受けることが想定されます。
実際のところ、ふるさと納税に大きく異存している事業者もありますので、そうしたところからは不安の声が寄せられています。
本市としては、政策の変化によって民間の事業者の存亡に関わってしまうことはできるだけ避けたいと考え、いろいろと救済策を検討しているところです。


――スマホ決済「PayPay」の100億円キャンペーンは意識した?またPayPay払いは使えないの?

「100億円還元」というワードの影響力は考慮いたしましたが、PayPay は利用できません。


ちなみに泉佐野市は100億円キャンペーンの残り金額を公表しない予定だという。

国と市のガチンコバトルの様相となっているが、12日、石田総務相は、ふるさと納税をめぐり、返礼品などを規制する法改正前の、いわゆる「駆け込みキャンペーン」について、今後対象からはずす可能性を示唆した。


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