CVIDは遥か先。だが、はじめの一歩がようやく動き出した。

カテゴリ:ワールド

  • 米の北朝鮮研究機関「北が衛星発射場の主要施設の解体始めた」 
  • 米朝首脳会談後の初めての動き
  • 在韓米軍司令官は、"米朝双方"の信頼醸成の重要性を強調 

“北朝鮮が衛星発射場の解体開始”

「北朝鮮が西海衛星発射場の主要施設の解体を始めた。」

“North Korea Begins Dismantling Key Facilities at the Sohae Satellite Launching Station”

アメリカの北朝鮮研究機関・38ノースが日本時間の今日24日早朝に発表した最新情報である。

38ノースが確認した衛星写真によれば、解体作業が始まったのは東倉里にある西海衛星発射場のミサイル組み立て施設とロケット・エンジンの噴射試験施設で、クレーン等を使って一部建造物が取り除かれ始めているという。

このうち、ロケット・エンジンの噴射試験施設は、大陸間弾道ミサイル用の液体燃料ロケットの開発に使われてきた施設で、その解体はミサイル開発の完全停止に向けて重要な意味を持つと解釈できるらしい。

Airbus Defense & Space/38North july 22,2018

まだ先行き不透明も…初めの一歩

もっとも、こうした動きが今後も継続するかどうか、その他のミサイル関連施設や核関連施設にまで拡がるかなど予断はできないし、仮にそうした動きが始まったとしても、さらに国際監視団と抜き打ち査察を北朝鮮が受け入れるか等、先行きはまだ全く不透明である。
つまり、CVID・完全で検証可能で不可逆的な非核化の実現まで、この先の作業は気が遠くなるほど長く複雑で不確実なのだが、首脳会談後の初めの一歩がようやく動き始めたということになる。

また、ロケット・エンジンの噴射試験施設の解体は、6月12日のシンガポールでの首脳会談後、トランプ大統領が記者会見で ”金正恩委員長が合意した”と発表したものでもある。 CVIDに向けた動きとしては本当に小さな一歩に過ぎないのだが、金正恩委員長がトランプ大統領との約束を守っている証としては極めて重要な意味を持つと評価できるかもしれない。

6月12日 シンガポール

信頼醸成へ…次はアメリカ?

在韓米軍のブルックス司令官は、20日、アメリカで開催されたシンポジウムにヴィデオ出演し、「これまでのところ235日間に渡って、北朝鮮は挑発行動を行っていない。北朝鮮軍の活動レベルも幾分低下している。」と明らかにした上で、双方の信頼醸成措置の重要性を訴えている。
そして、北朝鮮側が首脳会談での約束を守る証として必要な行動をとることの必要性を指摘したのだが、今回の衛星発射場の解体開始は、まさにその証に当たる。

同時に、ブルックス司令官は、信頼醸成措置は北朝鮮だけの義務ではないとも述べている。
とすると、次はアメリカ側が何をするかということになる。

ブルックス在韓米軍司令官 7月21日米・アスペン 「Aspen Security Forum」

こうした動きが非核化の実現につながるという保証はまだ全くない。
北朝鮮に時間稼ぎを許すだけに終わってしまう恐れは十二分にある。
しかし、”ミサイルをぶち込む”結果にならないようにする為には必要な措置なのだろうと推測する。

油断は禁物である。先は長い。しかし、他に良き道は無い。ほんの少しだが、期待を抱かせる"はじめの一歩"である。

(執筆:フジテレビ 解説委員 ニ関吉郎)

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