重くて臭い紙オムツ トイレでポイッと流せる未来へ

カテゴリ:国内

  • 国交省下水道部が5年後に「紙オムツをトイレで流す」スケジュールを提示
  • 大人用紙オムツの使用期間が年々延び、出荷額は子ども用オムツと匹敵
  • 「紙オムツ 溶解くん装置(仮)」設置の”愛(AI)のあるトイレ”登場へ

オムツをトイレットペーパーのように

今年に入り、「紙オムツはトイレでそのまま流せるか」が真剣に検討されている。

「いやいや、難しい」という声がある中で、国交省下水道部は、この春、5年後の実現に向けたスケジュールを示した。

子育てと介護に必需品となっている紙オムツが、まるでトイレットペーパーのように流せる日が来る!そして、流した後のその先に広がる話にも触れたい。

大人のオムツ10年時代 出荷額は子供用オムツと匹敵

65歳以上の高齢者がいる世帯は年々増加し、全世帯(4995万世帯)のおよそ半数近くを占める。およそ3.5世帯に1世帯が高齢者世帯(単独世帯+夫婦のみの世帯)という数字は、もう立派に高齢化社会と言える数字で、今後減る傾向にはない。 
(※厚生労働省の「国民生活基礎調査」より)

もう一つ、大人用紙オムツの使用期間が年々延びていることは見逃せない。

日常生活に制限のない「健康寿命」と「平均寿命」の差は伸びていて、男性で約9年、女性では約12年とされている。つまり、オムツやパットが必要となる期間が10年前後あることになり、生活の質の向上のためには、大人用紙オムツの役割が大きい。

これを裏付けるように、出荷額は年々増加しすでに子供用と匹敵する額となっている。

子ども用より”臭くて重い”大人のオムツ

大人用と子ども用で何が違うかと言えば・・・。

1.とても臭い
2.ゴミ出しが重すぎる
3.オムツは出先から持ち帰りが必要で外出が億劫になる

大人用紙オムツが未使用で約50g、使用後は約210gと、使用前後で、重さが約4倍にも膨れ上がるのだ。
家にためていたら3日で1400g~2000gになる計算。
乳幼児用だって、けっこう重いし臭いだってする。

これが大人のものだったら・・・と考えると、週に限られたゴミ回収日に、紙オムツが入ったごみ袋と生活で出たごみ袋を引きずり、捨てに行くだけでも大変だ。

課題山積・・大事なのは紙オムツを流したその後

なんせ年間、大人用で約74億枚、乳児用となれば約140億枚のオムツを下水に流そうとしているのだから、課題は多い。
(※日本衛生材料工業連合会 2016年データより)

国交省が下水道にオムツを流すために挙げている課題は大きく分けて2つある。

(1)下水管を詰まらせずに流せるか
(2)下水処理施設や水環境への影響

課題(1)に貢献すると期待されているのが、マンションの台所に設置されているディスポーザーの技術。
紙オムツを丸ごと砕いて、またはドロドロに溶かす装置で流してしまうのだ。

ただ、流した後に続く下水管は、処理施設まで平坦な道のりではない。
低い所から高い所へと汲み上げる際にはポンプを使っていて、ポンプのモーターにある羽の部分にオムツの素材がからまり、管が詰まる可能性がある。

ここに新たな技術が必要となる。

下水道部企画課・阿部千雅調整官

課題(2)については、夏以降に実装実験を予定しているとしたうえで、国土交通省 下水道部企画課の阿部千雅調整官はこう話す。

「オムツをなぜ下水で受け取ってあげたいかというと、幸せな生活のためなんです。人口減少の中、ごみ収集の回数も減ると思います。実はオムツを流すのが今回の目的ではないんです。下水道は、汚物を受け止める役目をもっている。今の生活を昔に戻すわけにはいかないので、下水道で汚物を受け取ったその後、どうつなげるかが一番の問題なんです。」

きちんと処理して、次につなげる。
循環させる仕組みを考えているのだ。

今から10年後の暮らし予想図

5年後に実用化を目指すとした今回の検討会。
期待される技術が、各家庭に浸透し、今から10年後、20年後にはこんな新たなモノが、暮らしをより便利に、豊かにしてくれているかもしれない。

「バイオ・オムツ」『トイレでそのまま流せます』と書かれた紙おむつ
乳幼児用、大人用紙オムツはトイレスペースでポイッとするのが当たり前。
外出先でも楽。

「紙オムツ 溶解くん装置(仮名)」が設置されている“愛(AI)のあるトイレ”登場
介護施設や集合住宅のトイレスペースが一回り広く作られている。
オムツ素材を分解(ほぐし、ドロドロに)する装置がトイレスペースの隅に、また、介護施設の個室ベッドのそばに設置されている。
除菌・丸洗い、温度などが一括管理されたトイレは、最期まで自宅で過ごすことをサポートしてくれる。

汚泥を発電や農作物栽培に活用
ある地域では、下水処理施設で処理された汚物が、バイオマス再生可能エネルギーとして発電に使われる。他の地域では、食卓に再生水と再生肥料で栽培されたカブやイチゴなどが並んでいる。
ちなみに下水道発の食材の名は「じゅんかん育ち」。

(フジテレビ 国土交通省担当 工藤三千代記者) 

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