「残さず食べたか」を自動でチェック…これで“老後”も安心?5Gで変わる医療と介護

カテゴリ:ビジネス

  • 5G活用で施設入居者を自動でチェック
  • 介護スタッフ不足の解決とコスト削減に
  • 遠隔医療の実現には“意識の壁”が

5G活用で施設でのチェックを自動化

2月上旬、SOMPOホールディングス・NEC・NTTドコモの3社は、広島の介護施設で5Gに関するある実証実験を行った。
食堂内のカメラに5Gを活用することで
・「来訪者特定」(全員来たか?)
・「残食チェック」(残さず食べたか?)
・「禁食チェック」(アレルギー食材はなかったか?)
…を、介護スタッフの手を借りずに可能にするというものだ。

5Gを活用したカメラ(提供:SOMPOホールディングス)
「残食チェック」(提供:SOMPOホールディングス)

なぜ5Gでは可能になるのか。
「来訪者特定」は、静止画やHD動画では、下を向きがちな入居者の顔認証は難しい可能性があるが、高精細な動画データを通信する5Gだと可能になるという。
「残食チェック」「禁食チェック」も、5Gの活用によりチェックの自動化を図ることができる。

(提供:SOMPOホールディングス)

介護施設において食事の際の業務負荷は高い。
通常、介護スタッフを追加配置しているため、5Gの活用により介護スタッフの稼働を減らすことができれば、一つの介護施設で年300万円ほどの人件費の削減効果が期待できるという。

高齢者が増加する中、担い手となる介護スタッフの数は大幅に足りておらず、経済産業省によると、2025年には32万人、2035年には68万人が不足する推計となっている。
5Gの活用は、こうした社会課題に対する一つの解決策となるかもしれない。

遠隔地から医師が診察…に立ちはだかる“壁”

一方、医療では、5G活用の前に立ちはだかる壁があるようだ。
5Gの恩恵を受けやすい分野として「遠隔医療」があるが、遠隔医療という枠組みの中には、以下の2つの分け方がある。

「DtoP」(Doctor to Patient)…医師が遠隔地の患者を診療する。
「DtoD」(Doctor to Doctor)…医師が他の医師の診療を支援する。

DtoPは、在宅や介護施設などで療養する患者に対して、テレビ電話などを介して診療するもの。
一方、DtoDは、「遠隔画像診断」(X線写真やMRI画像などを他の医療機関に送信する)や、「遠隔手術支援」(手術映像などをリアルタイムで伝送し、遠隔地にいる医師が手術支援する)などだ。
大容量の高速通信である5Gの活用によって、DtoDの分野は、大きな発展が期待できそうだ。
では、DtoPの方はどうか。まず、DtoPの現状を把握したい。
オンライン診療システムを手がけるIT企業「メドレー」は、現在 システムが全国約1200の医療機関に導入され、業界トップを誇っている。
しかし、全国の医療機関数は、約17万9000に及ぶ。
利用医療機関数は右肩上がりに伸びているものの、まだ広く普及していないというのが実態のようだ。

(メドレー決算説明会資料より)

メドレーは、「一部の専門領域の人だけでなく多くの人が5Gのメリットを体感するためにも、まずは今の4Gで実施できる内容をもっと普及させることが大切。スマホやタブレットを使用して医師に診療を受けることの心理的ハードル、規制のハードルが下がり、一般の方が活用できる環境になることで、5Gもより有効的に使われるようになるのではないか」とコメントしている。

5Gなどのデジタル革新は、医療・介護といった社会保障分野での活躍も期待が大きい。
少子高齢化が加速する中、まずは「意識の壁」を壊す必要がありそうだ。

(フジテレビ報道局経済部 土門健太郎記者)

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