パッション経済の夜明け、4000名の“創意工夫”が生み出す「新時代の個人ビジネス」

カテゴリ:テクノロジー

  • 個人のビジネスに今「あるトレンド」が...
  • キーワードは「パッションエコノミー」
  • 「美尻トレーナー」などの具体的な事例とは?

パッションエコノミーとは

今、個人のビジネスが大きく変わろうとしています。

昨年、投資会社a16z(アンドリーセン・ホロヴィッツ)のパートナーLi Jinさんによるブログ記事「The Passion Economy and the Future of Work(訳:パッションエコノミーと仕事の未来)」が話題になりました。

ブログの内容を要約します。

Uberに代表されるプラットフォームの登場で、スキマ時間にお金を稼ぐ人が増えました。これらのプラットフォームに象徴される経済圏の事を、Gig Economy(ギグ・エコノミー)と表現します。アメリカでは、このギグ・エコノミーに参加して個人としてお金を稼いでいる人が、労働人口の1/3を越えているそうです。

一方で、一貫性と効率を優先したことにより、サービス提供者のコモディティ化が進行しました。

これに対するアンチテーゼ的な流れが「パッション・エコノミー」です。

SNSの普及により、個人の発信が容易になり、個性や情熱に興味を持つファンを独自に構築出来るようになったことが「パッション・エコノミー」登場の要因となりました。

「パッション・エコノミー」で重要なのは、これまでのようにユーザーを集めることにフォーカスするのではなく、ユーザーの熱量を収益に変えるための簡単な手段を提供することです。上記のブログでは、そのようなプラットフォームの共通点を挙げています。

① 専門家でなくても個人でサービスを開始できる
② 個性はバグではなくセールスポイントになる
③ オンラインサービスの提供をカバーしている
④ ビジネス成長・運営のための包括的なツールである

このような特徴を持ったサービス事例として、有料ニュースレターサービスのsubstackや、サイト作成アプリのonuniverse、Podcast配信サービスのAnchorなどが紹介されています。

美容やトレーナーなど無形サービスを提供する個人が増加(MOSHサービスサイトより)

筆者はMOSHという、モノではなく個人の「無形サービス」を販売するECプラットフォームを提供しているのですが、実際、このような社会変化によって、国内でも個人や小さな事業者に多くのチャンスが生まれてきていると実感しています。事例として、2児の母でパーソナルスタイリストをされている方も、月商16万〜200万と大きく売上を向上させる事例が出てきています。

他にも、4000名近くの「パッション」を持った事業主たちが、SNSのみを集客経路として、様々なジャンルで収益をあげています。国内でもこれらのトレンドを感じるようになったのですが、その兆しとして次の2点を挙げたいと思います。

マッチングの構造変化

スマホとSNSの普及により、個人による発信は日々増加しています。Twitter, Instagram, YouTube, TikTokなど発信媒体がどんどん増え、表現方法もより多様になっています。

検索エンジンはキーワードが明確な場合は適しています。一方、自分の知らないキーワードはそもそも検索しようがないので出会えません。SNSで増え続ける個人の情報は「新たな興味関心の気付き」を与えてくれるという点で新たな流入の扉を開いたと言えます。

サービス事業者の集客は、検索だけでなく、SNSも大きな割合を占めるようになりました。

検索経由のトラフィックは膨大で、SNSに完全にリプレイスされるという意味ではありません。流入経路が分散化していくため、事業者は各流入経路をうまく活用しながら、ビジネスを拡大していくことが重要です。

SNSを中心とした興味・関心を軸としたマッチングにおいては、領域はより先鋭化・多様化していきます。「#ハッシュタグ」の存在によって、自分にとって本当に興味のある情報にたどり着きやすくなり、また、写真、動画、音声で、直感的に判断しやすくなりました。

先鋭化し、多様化する未来

個人の興味関心に近い情報にアクセスできるようになれば、予想されるのがマッチングの多様化です。特徴が明確である方が、利用数が多くなる傾向があります。

MOSHでの事例をご紹介しましょう。Venus EIKOさんは「美尻トレーナー」として美尻に特化したトレーニングを提供しています。hidaoさんは「美脚整体師」。予防医学を広めるために美容整体というアプローチを取っています。自分の得意なこと、情熱を持っている領域に特化し、発信・サービス提供を行っています。

個人をエンパワーメントするパッションエコノミーは、少子高齢化や労働力の不足など、多くの課題を抱える日本社会にとって必要な考え方になると確信しています。

執筆:籔和弥(mosh.jp代表取締役)