「なぜ人は争うのか」…小6が挑んだ“夏休みの宿題をあえてやらない”自由研究でたどり着いた境地

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  • 小学6年生が「宿題を夏休み最終日までやらないときの家族の反応」自由研究に挑戦
  • 最終日直前にそのことを打ち明けた少年。家族の反応とは?
  • この父にしてこの息子あり?父親にその後を聞いてみた

夏休みが終わったこの時期、ネット上では夏休みの宿題の1つ、自由研究が話題になっているのを目にする。
子どもらしいものから、大人では思いつかないものまであり、編集部でも「ママを救う!献立スロットマシーン」や、「“自分のダメな所”を表現したぬいぐるみ」などを紹介した。

そしてまた新たに、自由研究に斬新な手段で挑んだ小学生の記録がInstagramで公開され、反響を呼んでいる。

発信元は岩手・久慈市にある自動車板金塗装店「佐々木ボディー」のアカウント。「おはよう 夏休みの自由研究にいさん 壮大な実験、お疲れ様でした」として、小学6年生の息子さんによる、夏休みの自由研究を紹介したのだが、驚くのはその内容。

「宿題を夏休み最終日まで残しておいた時の家族と自分の反応」

…いかがだろうか。ついつい時間が経つのも忘れて夏休みを満喫してしまい、その結果、夏休み終盤にあわてて宿題をやったという経験は誰しも思い当たるだろうが、この自由研究はあえてその状態に自分を追い込んで、家族の反応と自分の気持ちを調べるというのだ。

息子さんの天才的?な発想にネット上では「最高です」「このテーマを題材にした息子さん凄い」と称賛の声があがったが、すごいのはテーマ設定だけではなかった。その研究を綴った文章には文才もあふれているのだ。

果たして、この奇想天外な実験はどんな結末を迎えたのか。彼の心境の変化をノートに沿って追っていきたい。
※意味を伝えるため、文章の一部は補足して記載

夏休み前半「宿題のことなどまったく頭にない」

【初日】
夏休みも始まり、気分はウキウキで宿題のことはまったく頭にない

【2日目から4日目】
ドンドコキャンプに行った。とても楽しく、宿題のことなどまったく頭にない

【5日目から】
プールに行ったりみつばちを見に行ったり、毎日が楽しすぎて宿題のことなどまったく頭にない

【9日目から13日目】
七夕祭りに行ったりプールに行ったりして楽しすぎて、宿題のことなどまったく頭にない

【14~18日目】
100km徒歩の旅に出発。旅の過酷さに宿題のことなど、まったく頭にない


最初から全力で満喫しているが、やはり夏休み前半はこの自由研究をやっていない子どももそうであるように、宿題のことなどまったく頭にない。
だが、夏休みの後半になると彼の心に変化が起きてくる。

【19~22日目】
キャンプに行ったり海に行ったり、おばあちゃんの家に泊まりに行ったり、バーベキューをしたり花火を見たり、おぐにゃんの家に泊まりに行ったり、夏井さんのかき氷を食べに行ったり、夏休みで一番イベントがあり楽しい期間ではあったのだが、次第に夏休みが終わるという恐怖が、僕の心に芽生え始めてきた


旅や外泊を楽しみつつも、夏休みも終盤にさしかかったところで登場した「恐怖」という言葉。
不安を覚えたようだが、悲しいかな。この状態はここから、さらに進行していく。

宿題を終わらせるわけにはいかないのです

【残り3日】
本来なら、朝早くからやらなければならない量が残っているのだが、僕は自由研究のために宿題に手をつけるわけにはいかない。なぜか、僕の弟も全く手をつけていない。大丈夫だろうか

【残り2日】

朝、宿題をやらずに学校に行って先生に怒られる夢を見て目が覚めた。もう限界だ。変な汗が止まらない


なぜか宿題に手をつけていない弟の心配をしている場合ではない。夏休み終了まで残り2日となり、精神的な限界も近づいたところで、彼の自由研究の山場が訪れた。
家族に宿題をやっていないことを打ち明けたのだ。そのときの反応は...

・おじいちゃんとおばあちゃん
「ウソでしょ?終わるの?」と言われる

・お父さん
笑って「お父さんも最後の日に泣きながらやってたな」と言う

・お母さん
毎日「宿題終わったの?」とガミガミ言われていたが、「やってるよ」とうそをついていたことがばれ激怒。怒って、お皿を一枚割る

・弟(小学生)
彼も全く宿題をやっていない。大丈夫だろうか。彼が宿題に手を付けない理由が全く分からない

・弟(保育園児)
彼は保育園児のため、宿題という意味が分からない

・カメなどのペット
心配そうな目で僕を見つめている。かわいいやつだ

保護者としては当然の反応だが、母親からは激怒されたようだ。話し言葉での表現がないところに怒り度合いが見て取れる。それでも、すべては自由研究のためだ。母親の様子を記した部分には「しかし僕には研究があるので、全て宿題を終わらせるわけにはいかないのです。分かってください」とも書かれていた。(※下部には、うっすらと「お母さん」という文字も確認)

最終日...そのとき少年は?

【最終日】
ぐっすり眠り、朝10時過ぎに目が覚める。なぜだろう、最終日にもかかわらず、すがすがしい朝を迎えている自分がいる。宿題は全く終わっていないのだ。なぜか先生に怒られる夢も全く見ない。もしかして、やっていかなくても怒られないんじゃないか?とすら思えてきた

そもそも宿題とは、何のためにあるのか
僕は、何のために生きているのか
生命は、何のためにこの世に生まれてきたのか

なぜ人は争うのか

宿題をあえてやらないという重圧が、少年を悟りの境地に導いたようだ。
だがそれでも、時間の流れは止まらない。次第に彼の心はむしばまれていく。

【最終日(続き)】
午前中は何も手が付かず、弟の宿題を手伝ってみた

午後 お昼ご飯を食べ終わり、自分の宿題が全く終わっていないことに気付く。なぜだろう。吐き気が止まらない。宿題に手を付け始める。自由研究のためとはいえ、こんな研究に手を出してしまった自分に腹が立って仕方ない

過去に戻りたい...
過去に戻りたい...
過去に戻りたい...

過去には、戻れない
やるしかない
やるなら今しかない

涙が止まらない
過去に戻りたい...



最終日の午後、重い腰を上げて宿題にとりかかるが、当然ながらすぐには終わらない。
「やるしかない」と自分を奮い立たせるも、後悔の念は止まらないようだ。
ここでも、家族の反応が記されている。

・お父さん
笑いながら「最後の日に泣きながらやってたな」と言う

・お母さん
目が合っても何も言葉をかけてこない
(もしかして、僕は大変な研究に手を出してしまったのではないだろうか...)

・弟(小学生)
午前中
凄い勢いで宿題をやり始めている

午後
友達と遊びに行く(彼のこの余裕はどこから来ているのだろう。まさか、あいつもこの研究をやっているのか..)

夜 泣きながら宿題をやっている


同じ状況の弟は遊びに出かけたが、帰宅後に泣きながら宿題をやることになったようだ。そんな様子を見て、少年は「もしかすると、この研究は僕がやらなくても弟を研究すれば、結果が分かったんじゃないだろうか」と実感するのだった。

そして最後のページには、このような文字が並んだ。

【最後のページ】

朝方

終わった

学校に行こう

宿題は始業日の朝方を迎えたところで、ようやく終わったという。報告欄の頑張ったところには「家族のみんなの反応を細かく書けて良かったです。でも、弟も宿題が終わっていなかったので、そっちを研究すれば良かったです」と記されていた。
この自由研究に、先生からは「夏休みにたくさんの経験ができましたね」との反応だった。

言葉遣いの随所にセンスがあり、小説のような自由研究を完成させた息子さん。家庭ではどんな存在なのだろう。息子さんには話を聞けなかったが、父親が取材に応じてくれた。

話題になって息子は調子に乗っています

――最初に聞いたときはどう思った?

単純に面白いな~と思いました。
私も子どもの頃は、最終日に泣きながらやっているパターンでしたからね。


――宿題をやらなかったことを打ち明けたとき、息子さんはどんな反応をした?

普段とあまり変わらない反応でした。うちの3人兄弟はみんな男で、父親の私も含めて家事などの手伝いをほとんどせず、ぐーたらしてしまっています。当然、うちのワイフ(妻)には普段から怒られているので、怒られ慣れているのかもしれませんね。


――自由研究を通じて、息子さんに変化などはある?

話題となったことで、息子はちょっと調子に乗っています(笑い)。家庭ではそのことで、ワイフに怒られていますよ。個人的には、子どもの自由研究なので自由にと。面白いな~とだけ思ってますね。


人生を自由に生きてもらえれば

――家庭での教育において心がけていることはある?

教育で心がけていることは特にありませんが、自立さえしてくれればという思いです。そのために、本人がやりたいと思うことはことはやらせてあげたいですね。


――息子さんに将来の夢などはある?どう育ってほしい?

言うことがコロコロ変わっているので、正直自分には分からないです。引きこもりやニートにさえならなければ、人生を自由に生きてもらえればと思います。


「夏休みの宿題をあえてやらない」という斬新な挑戦をした息子さんの父親もまた、おおらかな雰囲気を感じさせる人物だった。型にとらわれない発想や文才を持つ息子さんは、どのような大人に成長するのだろうか。これからに期待したい。