“ポスト安倍”への権力闘争が再スタート!自民党新4役会見で垣間見えた「二階―岸田」の温度差

カテゴリ:国内

  • 留任の二階幹事長は早くも安倍4選支持発言
  • “ポスト安倍”岸田氏は「未来」を多用し、「次」への意欲
  • ポスト安倍に向けたレースと権力闘争激化の予感

二階幹事長、安倍政権の象徴としての重みとこだわり

自民党本部4階

9月11日午前11時、自民党本部4階の記者会見場に、党役員人事で決まった新たな党4役が姿を現した。二階俊博幹事長、鈴木俊一総務会長、岸田文雄政調会長、下村博文選対委員長の4人だ。そして始まった共同記者会見では、就任から3年を超え幹事長として最長在任となった二階氏が次のように述べた。

「私たちは安定と挑戦ということを念頭に置き、これからの党の運営を進めて参りたい。党役員人事もこれから行われる内閣改造もこの安倍総理のお考えしっかり反映された形になっていると思っております。政治の安定無くして国民生活の安定も無いのは当然のことであります。また同時に挑戦無くして新しい時代は切り開けないという決意のもとに我々は常に挑戦を続けていく、チャレンジを続けていくということが党の基本だ」

二階氏はさらに、スピード感ということを強調し、「党と内閣の一丸」を強調した。

「自由民主党に課せられた使命というのは国民の皆さんが自民党ならやってくれるだろうと、期待を抱いていただいているとすれば、我々はそのことに真摯にしかも真剣に、さきほど申し上げましたように、スピード感を持って対応していくということが大事だと思っています。党と内閣は一丸となってこれからも結果を出して努めて参ることを冒頭に誓う」

さらに、自民党の総裁任期の延長、いわゆる安倍総裁4選に向けての認識を問われると、次のように述べた。

「もし総裁がそういうご決意を固められたときは、我々恐らく、国民の皆さんのご意向に沿う形を持って、党挙げてご支援申し上げたいと思っています」

「国民の意向」が条件になるとしながらも、安倍首相が総裁4選を望むなら、それを支持すると改めて明言した。安倍政権のもとで自らの権力が最大化されている現状を維持したい二階氏の意向がにじみ出た形だ。

岸田政調会長、ポスト安倍として見つめる未来

この二階氏の安倍4選支持論を隣で聞いていて複雑な気持ちだっただろう人物が、ポスト安倍の有力候補の1人であり、政調会長に留任し3期目に突入した岸田文雄氏だ。

岸田氏は会見で、政調会長としてのこれまでの成果を強調した上で、当面の政策課題として、来月に控える「消費税引き上げ」を挙げ、「消費税の引き上げを円滑に実現する」ことが重要なことだとした。そして次のように続けた。

「ポスト東京オリンピック・パラリンピックに向けてしっかりと未来をみすえた政策を考えていかなければいけない。将来の日本の姿をしっかりと示していく、こういった課題については、政調会長直属の3組織、経済成長戦略本部、人生100年戦略本部、財政健全化推進本部の3本部体制で、三位一体でしっかりと議論を進めて参りたい」

岸田氏はさらに「未来戦略研究会」という会議での2050年を見据えた議論にも言及し、ポスト東京五輪の時代を見据えた政策づくりへの意欲を示した。そして、報道陣から「ポスト安倍」の1人としての自身の目標を問われると、次のように述べた。

未来に向けて政治はどういうことを考えているのか、こういうことを示したいと申し上げましたが、そういった中身ならば、より、私自身がどんな未来を考えているのか、日本の明日をどう考えているのか、こういった点をよりしっかり強くアピールする、こういった姿勢も大事にしていきたいと思っています」

ポスト安倍へ向けた権力闘争が再スタート

この二階氏と岸田氏の会見を聞いていて非常に印象的に感じたのが、「安倍総理を中心とする現体制での政策実現の重要性」を強調する二階氏と、「未来」「将来」という言葉を多用し安倍政権後を見据えた政策の重要性を訴えた岸田氏の温度差だ。

二階氏と岸田氏は、今回の党役員人事を巡り、「幹事長の座」を争った仲でもある。自民党内では、二階氏を幹事長として唯一無二の存在として評価する声が挙がる一方で、二階氏自身が高齢であることなどから幹事長の交代論も出ていた。そんな中で、次期幹事長として名前が挙がっていたのが岸田氏である。

岸田氏としては、今回のタイミングで幹事長に就任できれば、事実上「ポスト安倍」レースで先頭に踊り出られるはずだった。加えて首相官邸から「総理も今回は本気で二階さんの交代を考えているようだ」などといった声も聞かれ、一時は岸田派内では期待感が高まり、二階派内は緊張に包まれた。

結果として安倍首相は、二階幹事長の留任、岸田政調会長も続投という現状維持を選択したわけだが、その権力闘争の続きはこの会見でも、安倍4選を支持した二階氏と、未来の政策を語ることでポスト安倍―二階体制への意欲を示唆した岸田氏の発言の温度差という形で表れた。

今回の内閣改造では閣内に、菅官房長官、加藤厚労相、茂木外相、そして小泉進次郎環境相といったポスト安倍にとりざたされる面々が並び切磋琢磨することとなった。そして自民党執行部には岸田政調会長がいる。安倍首相が「安定と挑戦」を掲げたこの新体制のもとで、ポスト安倍を見据えた自民党内の実力者たちの「挑戦」と「権力闘争」もまた再スタートした形だ。

フジテレビ政治部 自民党担当 福井慶仁

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