災害時に役立つ公衆電話の“底力”…でも小学生の3割は「存在を知らない」

カテゴリ:国内

  • 停電も通信制限も問題なし! 「公衆電話」の底力
  • 実は年々増加している「災害用公衆電話」
  • NTT東日本「子どもたちの印象に残る啓発活動を実施」

停電時でも繋がる!公衆電話に注目

9月8日から9日にかけて、首都圏を直撃した台風15号。
千葉県では停電の影響で携帯電話がつながりづらくなり、住民たちは町の被害を知る方法も自分たちの状況を伝え合う手段も限られてしまった。

災害時に困るのが、連絡手段が絶たれてしまうということ。
家族や友人に被害状況や安否を伝えたくとも、警察・消防といった重要な通信を優先させるための通信制限で通話ができなかったり、停電の影響で“充電難民”となってしまうことも少なくない。

そんな災害時でも、公衆電話は通信制限や停電の影響を受けないということをご存じだろうか。

NTT東日本では災害時の重要な通信手段である「公衆電話」「災害時用公衆電話」について、様々な啓発活動を行ってはいるものの、最近では街中で電話ボックスを目にする機会も減ったように感じる。

だが、災害時に役立つならばしっかりとその使い方を覚えておきたい。
NTT東日本に詳しくお話を伺った。

「公衆電話」は通信規制の対象外

――どうして公衆電話は災害時に便利?

災害等の緊急時では電話が混み合い、通信規制が実施される場合があります。
しかし、公衆電話は通信規制の対象外として優先的に取り扱われる「災害時優先電話」となります。
公衆電話は通信ビルから電話回線を通じて電力の供給を受けているため、停電時でも硬貨利用であれば、平時と同様に利用可能です(発信先の状況により、繋がらない場合もございます)。

実際に、東日本大震災の際も、3月11日の東日本全域の公衆電話の通信回数が、前日比約10倍を記録しました。


――台数は減っているように感じるが…

携帯電話などの普及に伴い、公衆電話の設置台数は6万9,951台(2018年現在)とピーク時に比べ減少していますが、現在も災害時を含む通信手段の確保のため、概ね500m~1km四方に1台設置しています。

加えて、災害時に無料で使用できる災害時用公衆電話(特設公衆電話)の事前配備を自治体と連携の上進めており、NTT東日本管轄内において、2011年以降8年間で設置数が約7000台から約48,000台へと増加しています。

「災害用公衆電話」のイメージ(出典:NTT東日本)
出典:NTT東日本

NTT東日本によると、公衆電話の設置数は減っているというが、災害時に無料で利用できる「災害時用公衆電話(特設公衆電話)」の数は右肩上がりで2011年の東日本大震災後から約7倍に増えているのだ。

災害時用公衆電話とは、我々がイメージする緑の電話ではなく、避難所となる施設などで保管していて、平常時は使えないが、災害時に設置すると使えるようになる電話のことだ。

公衆電話も災害時用公衆電話のいずれも、災害時には「災害時優先電話」となり、警察や消防などの重要通信を守るために行われる通信制限の影響を受けることがなく、また、電話回線を通じて電力が供給されているため、停電時でも利用することが可能なのだ。

覚えておきたい災害時の「伝言ダイヤル」

――災害時に覚えておきたい使用法は?

公衆電話では、災害時に限らず緊急通報(110番・119番等)を無料でかけることができます。
また、災害が発生し、被災地への通信が集中してつながりにくい状況になった場合に、被災地の方への安否確認を行う音声による伝言版の役割を果たす「災害用伝言ダイヤル(171)」もご利用いただけます。


公衆電話を使ったことがある人なら基本的なダイヤルの方法はわかるだろうが、意外と知らないのが災害時に使える伝言ダイヤル。

・「1・7・1」→「1」→「電話番号」で伝言を残すことができる
・「1・7・1」→「2」→「電話番号」で伝言を聞くことができる

たとえば、被災地の人は自宅の番号をダイヤルして「〇〇避難所にいます、落ち着いたら連絡します」などの伝言を残すことで、本人と連絡を取ろうとした家族や友人との間で連絡が行き違いになったりすることが減る。
平常時は開放されていないサービスのため、使ったことがある人は多くないだろうが、NTT東日本の公式サイトでは「被災地内にお住まいの方は、積極的に安否情報を発信してください」と使用を推奨している。

「存在を知らない」小学生には“VR公衆電話”?

しかし、携帯電話の普及で、今や「公衆電話を使ったことがない」というだけでなく「知らない」という世代も登場している。

NTT東日本が2018年11月に実施した実態利用調査では、小学生の約8割(77.0%)が公衆電話を使ったことがなく、約3割(27.3%)がそもそも存在を知らないという結果が明らかになったという。

2017年12月に実施した調査では小学生の85.0%が「使ったことがない」と回答していて、1年間で認知度はやや改善されているものの、調査結果に「携帯電話やスマートフォンの普及により、公衆電話の認知と利用機会はまだまだ低いことがうかがえます」と分析している。


――公衆電話を知ってもらうためにしていることは?

弊社では、子どもたちが緊急時や災害時にも、公衆電話を通じて家族と連絡が取れるよう、子どもたちの印象に残る啓発活動を実施しており、その活動の一環で“公衆電話”のミニチュアフィギュアを株式会社タカラトミーアーツ様より2019年11月に発売いただくことになりました。
また昨年からは、公益社団法人ガールスカウト日本連盟様による「地図を見ながら公衆電話を探して実際に電話をかける体験活動」を支援させていただくなど、各地で公衆電話の啓発活動が実施され、利用啓発活動の広がりを感じております。

「NTT東日本 公衆電話ガチャコレクション」NTT東日本 協力:NTT技術史料館

NTT東日本が行っている子どもたち向けの啓発活動のひとつが11月に発売されるミニチュアフィギュア。
受話器が取れたり、ボタンが押せたりというギミックがあり、子供たちが馴染みのない公衆電話に思う存分触れることができる、というのがポイントだ。
ちなみに、平成5年に当時の皇太子さまと雅子さまのご成婚を祝してパレード沿道の公衆電話を塗り替えた「金色の公衆電話機」など、かなり懐かしいものもあったりと、大人でも楽しめるラインナップになっている。

さらに、公式サイトでは街中で公衆電話をかけられる場所を歩いて探したり、「受話器をとってからテレホンカードを入れる」といった手順をこなしていく「VR公衆電話体験」などを公開している。

出典:NTT東日本公式サイト

公衆電話に触ったことのある世代は少々驚きかもしれないが、使ったことがない世代は、受話器を外さずにダイヤルしたり、お金を入れるタイミングがわからなかったりという問題があるそうだ。

レトロなアイテム…と思ってしまいがちだが、実は災害時の備えとして着々とその設置台数を増やし、我々のライフラインを支えてくれていた公衆電話。
今一度その使い方を確認して、いつ起きるかわからない災害に備えることが大切だ。

「常識が通用しない…いま備える防災」

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