2020年春にも「チャック付き紙容器」が登場…脱プラの代替品として“同等のバリア性”

カテゴリ:国内

  • 脱プラスチックへ...再封可能な「チャック付き紙容器」を大日本印刷が開発
  • 担当者「ほぼ紙製で、従来のプラ製容器と同等のバリア性がある」
  • 2020年春以降はスーパーやコンビニで目にするかもしれない

プラスチックごみが世界的問題に

生活で排出されるプラスチックごみが、世界的な問題となっている。
環境省の中央審議会で提出された資料によると、1950年以降に生産されたプラスチックは83億トン以上にのぼり、このうち63億トンが廃棄物となっている。そのリサイクル率はわずか約9%で、他は埋め立て処分や海洋投棄といった形で廃棄されているという。

環境汚染や生態系への悪影響も懸念されていて、国際機関である「世界経済フォーラム」がエレン・マッカーサー財団とともに発表した報告では、年間800万トンものプラスチックが海洋投棄されているという。2015年には、鼻腔にプラスチックストローが刺さったウミガメの救助映像が出回り、その痛々しい姿が話題となった。

鼻腔にプラスチックストローが刺さったウミガメ

脱プラに向けた「チャック付き紙容器」が開発

この現状を改善しようと、官民が進めるのが「脱プラスチック」の動き。
2020年までに、コーヒーチェーン店の「スターバックス」はプラスチック製ストローの提供を廃止する予定であり、日本政府はこれまで無料配布されていた、レジ袋の有料化を義務化しようとしている。いずれも、環境に配慮しての施策だ。

しかし、このような取り組みを進めるには、使い勝手の良い存在だったプラスチックに頼らない方法を見つけなければならない。
例えば、レジ袋はエコバッグで代替できるが、プラスチック並の特性がなければ機能しない製品もある。食料品の容器類もその一つ。強度がなければ内容物が漏れてしまうし、機密性がなければ長期間の保存には向かないだろう。

プラスチック製品の例(画像はイメージ)

こうした中、総合印刷企業の「大日本印刷株式会社」が脱プラスチックに向けて、再封可能なチャック付き紙容器を開発した。各メーカーが販売する食料品や日用品の包装材として普及させたいとしていて2020年の春ごろから市場に出回る可能性があるという。

果たして、どのような製品なのだろうか。環境には優しいが、プラスチック製と比べて機密性はどうなのかなど、大日本印刷の担当者に話を伺った。

「従来のプラ製容器と同等のバリア性がある」

――チャック付き紙容器を開発しようとしたのはなぜ?

業界ではプラスチック削減の動きを受け、内容物を密封できる紙容器の需要が高まっています。弊社はお酒や飲料品における、紙容器の内面に内容物保存用のフィルムを貼り合わせた液体紙容器のノウハウ、製品を包装するフィルムパッケージの技術を持ち合わせていたので、これらを応用して再封可能な紙容器を作ろうと開発しました。


紙容器は積み重ねて陳列することも可能だ(提供:大日本印刷)

――紙製のメリットは?従来の容器とは何が違う?

紙製にすることで、容器包装リサイクル法の分類が「プラ」から「紙器」に変わるので、プラスチックの使用量を減らせます。また、流通や陳列の面でもメリットがあります。プラスチックフィルム製の袋を使う際は内容物が壊れないよう窒素ガスも封入し、袋詰めの状態で輸送や陳列をしているのですが、輸送効率がよくありませんでした。開発した紙容器は充填効率が高く、店頭にも隙間なく積み重ねて陳列できるため、効率的でもあります。

このほか、従来のプラ製容器と比べても同等のバリア性(内容物の保護機能)を持ち、保存性にも優れています。製造コストの違いやプラスチックの削減量などは、メーカー側に提供する製品ごとで異なるため、単純比較することができませんが、容器はほぼ紙製と言えます。


――開発過程での工夫や苦労、こだわったところなどはある?

紙容器に高いバリア性を持たせるために、今回の紙容器には、水蒸気や酸素への高いバリア性を持つ「バリアフィルム(IB-Film)」を採用しました。液体紙容器の製造で培った、紙容器の内側にフィルムを貼り付けるノウハウと技術を応用しています。

また、複数のフィルムを積層するフィルムパッケージの技術も応用しています。フィルムは単体では包材としての機能を果たせないので、さまざまなフィルムを積み重ねて、耐熱性や耐衝撃性などを付与しています。このほか、紙部分の材料には「森林認証紙」も使用できるので、持続可能な原材調達にも貢献できると思います。

※「バリアフィルム(IB-Film)」はDNPグループが開発した製品

再封が可能(提供:大日本印刷)

戸棚や冷蔵庫での長期保存もできる

――紙容器はどこまで使用できる?水に濡らしても大丈夫?

風呂場や洗面所など、水回りの近くで繰り返し使用することは想定していません。「バリアフィルム(IB-Film)」によって、バリア性は確保されていますので、長期保存は可能です。開封後も湿度による内容物の劣化を防げるよう、チャックによる再封も可能なので、戸棚や冷蔵庫での保管に最適です。


――想定される利用例などはある?

インスタントコーヒーなどの粉体、スナックやシリアル類、調味料などの保存に適していると思います。食品メーカーや日用品のメーカーに採用を検討しているので、2020年の春ごろにはスーパーなどに並ぶ可能性があります。

冷蔵庫や戸棚の保存に適しているという(画像はイメージ)

――紙容器という存在をどうしていきたい?

これまでの紙容器は二次容器(外箱など)に用いられることが多かったのですが、チャック付き紙容器は保存性があるため、食品の一次容器(内容物が直接触れる容器)として、広く展開していきたいと考えております。従来のプラスチックパッケージと使い分けるなどして、プラスチックの使用量削減にも貢献しつつ、まずは2022年度までに、年間10億円の売上を目指します。



世界的な「脱プラスチック」の流れの中、プラ製容器と比べても同等のバリア性を持つという「チャック付き紙容器」は確かに需要が見込めそうだ。
こうした機能的には遜色ない代替品が今後も開発されて、我々にとって新たな選択肢が増えることに期待したい。