れいわ新選組のALS新人議員が切望する“分身ロボット”への想いとは…!?

カテゴリ:国内

  • 舩後議員「分身ロボットで1000歩離された健常者議員に650歩近づける」
  • 議員の分身ロボットと秘書が打ち合わせ!?不思議な光景を取材
  • 国会進出なるか?分身ロボット活用への課題とは!?

「難病患者」舩後議員が切望する分身ロボット活用

先の参議院選挙を受けて8月に開かれた臨時国会で最も注目を集めた議員は、れいわ新選組から初当選した舩後靖彦参院議員だろう。全身の筋肉が動かせなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者である舩後議員のために、国会ではバリアフリー工事など、様々な対応が行われ、舩後議員は介助者を通じて議長を選ぶ投票などを行った。

れいわ新選組から初当選した舩後靖彦参院議員(8月の臨時国会)

その舩後氏が、次に国会への導入を目指しているものがある。それが「分身ロボット」だ。舩後氏はなぜ、人間の介助者ではなく「分身」を使った議員活動を切望しているのか。FNNは舩後氏を取材した。

なぜ分身ロボットで議員活動?

舩後議員は、ロボットを使用したい理由についての私たちの書面での質問に次のように答えた。

私に付くスタッフは介助専門であり、代理で手を挙げても”私の意思を反映していない”と思われかねない

舩後氏には、介助者の意思が介在しうる余地をなくし、自らの意思を直接かつ明確に伝えられるようにしたいという強い思いがあったのだ。

文字盤を使って介助者と話をする舩後議員(8月の臨時国会)

その思いを胸に舩後氏はこれまでも、インターネットで通話する「スカイプ」などを使った意思表示に挑戦してきたものの、そうしたツールではその場その場での意思表示ができず、結局相手の話を聞いているばかりになってしまったという。

そこで目を付けたのが「オリヒメ」という“分身ロボット”だった。オリヒメは他のツールと何が違うのだろうか?舩後氏は次のように答えた。

「分身ロボット『オリヒメ』は違います。視線入力ソフト『オリヒメアイ』を介して、私の意思をストレートに表明・表現できるのです。オリヒメには、全身麻痺の私ではできない動作があります」

この「オリヒメ」は、眼や指先しか動かせない重度の障害を持つ人でも意思を伝達できる装置だ。「オリヒメアイ」というデジタル透明文字盤に視線を注ぐことで文字を入力し、同じく視線で操作する分身ロボット「オリヒメ」が文章を読んだり、身ぶり手ぶりも交え他者と会話するのだ。さらに、国会で必要となる挙手による投票や拍手もできるという。舩後氏は語る。

「国民の代弁者たる国会議員になれた私には、喋れないという最大級のハンデがあります。しかしながら、このオリヒメとオリヒメアイという最先端テクノロジーには、そのままなら1000歩離された健常者国会議員に、650歩近づけるという要素があります。その為、国会で使用したいのです」

分身ロボットが国会進出!不思議な光景を公開

そしてこの分身ロボット「オリヒメ」を、議員活動の効率化につながるとして、すでに試験導入している国会議員がいる。自民党の平将明議員だ。

分身ロボットを試験導入する自民党の平将明議員

平議員は、自らは国会の議員会館内の事務所にいながら、地元の東京・大田区の事務所にいるオリヒメ(名付けて「タイラくん」)を通じて、ロボットを前にした地元秘書たちと打ち合わせ行う様子を報道陣に公開した。こちらの写真がその様子だ。

東京・大田区の事務所での打ち合わせ 8月6日

秘書に囲まれた全長およそ25cmのロボットが身振り手振りを交えながら、秘書の顔を見て話しかける。不思議な光景だが、ロボットの動作はすべて、国会内の事務所にいる平氏がタブレット端末で遠隔コントロールしている。そのためか、平氏の操作するロボットには、議員自身がその場にいるかのような独特の存在感もあった。

分身ロボット “オリヒメ”「タイラくん」
タブレット端末で国会内の事務所から遠隔コントロールする平将明議員

分身ロボット“オリヒメ”には様々な可能性があると考え導入したという平氏。障害者だけでなく、育児中の女性議員や出張中の閣僚なども活用が可能だとして、オリヒメの国会への本格進出に期待感を示していた。

“オリヒメ”をめぐっては、去年、舩後氏と同じALSの患者など重い障害を持った人たちが、遠隔操作で接客する「分身ロボットカフェ」が都内で実験的にオープンするなど、様々な試みが行われている。体を動かせない人も、ロボットを操作することで仕事や社会参加ができるようになることへの期待が膨らんでいる。

“分身ロボットカフェ”には石破元幹事長の姿も… 2018年12月

国会導入に向けた課題は…

しかし、オリヒメの国会への導入は、それほど簡単ではない。参議院に取材したところ、そもそもロボットの国会活用についての規定は、今のところ特にないという。例えばロボットの挙手を投票と認めるかなど、具体的なルール作りが必要となる。さらに国会の中でロボットを確実に使うためには、安定した通信・インターネット環境の整備も課題の1つだ。

具体的なルール作りや安定した通信・インターネット環境の整備も課題

また、舩後氏も“オリヒメ”の活用に向けた課題に直面している。

「いざ手に入れて(レンタル)みると、機械操作に苦手意識のある介助スタッフには、セッティングが難しいことが判明しました」

舩後氏によると、国会で分身ロボットを自らの手足のように使うためには、やはり扱うスタッフの熟練も重要なようだ。

舩後氏は秋の臨時国会での分身ロボットの“デビュー”を求めているが、今のところ実現するかは不透明な状況だ。課題を乗り越え、国会へのロボット進出はどこまで現実となるか。重度の障害を持つ議員が誕生したことで、国会の対応が問われている。

(フジテレビ政治部 羽山寛 森本涼)

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