「豆乳にアボカドの種を入れて放置すると“ヨーグルト”」危険なデマがネットに拡散…食中毒の可能性も

カテゴリ:暮らし

  • 「豆乳ヨーグルト」の作り方についてのデマが拡散
  • 豆乳メーカー「危険である可能性が高いと考えられます」
  • “発酵”も“腐敗”も仕組みは一緒…その違いは何か聞いた

暑い季節は食欲も落ち気味で、体によさそうな食事を心がけている人も多いだろう。
そんな折、ツイッターではいかにも体によさそうな豆乳ヨーグルトに関する「デマ」が一気に拡散する騒動が起きている。

その「デマ」は以下のようなものだった。

「洗った容器に豆乳とアボカドの種などを入れてかき混ぜ、常温で約1日ぐらい置いておくと豆乳ヨーグルトができます」

繰り返すが、これは真っ赤なウソなので絶対に試したりしないでいただきたい。

この「デマ」に対して、様々なユーザーから危険を指摘するコメントが投稿された。
・これ腐ってるんだろ
・食中毒を起こします
・雑菌が豆乳に影響している
さらに、玄米を使って家庭で作る「玄米豆乳ヨーグルト」でも、過去に同じような「デマ」騒動が起きたことを指摘するユーザーも現れた。

これらの「デマ」では、豆乳に何かを加えて放置するとヨーグルト状に固まる、としているが、では一体何が固まっているのか?そして、どんな危険があるのか?
豆乳メーカーの大手であり、豆乳ヨーグルトも製造している「マルサンアイ」に聞いてみた。

「発酵」も「腐敗」も仕組みは一緒…その違いは?

――常温放置で固まった豆乳を食べるのは危険なの?

一概に危険とは言い切れませんが、危険である可能性が高いと考えられます。
ヨーグルトのような発酵物は、乳酸菌などの安全性が確認された微生物で発酵させることが一般的です。
安全性が確認できていない、どのような微生物が存在するかが不明なもので発酵させた場合、食中毒のような現象が起きる可能性も否定できません。

――玄米などを使っても固まるの?

果物や穀物などには微生物が存在しています。また、空気中にも微生物(浮遊菌等)が存在しています。
したがって、温度などの条件が合えば凝固すると考えられます。

――つまり豆乳は常温で放置するだけで固まるの?

常温保管可能なパックに包装されている豆乳は無菌包装ですので、常温で放置しても固まることはありません。
開封することにより無菌性が無くなり、空気中の微生物(浮遊菌等)が意図せず混入することで微生物が増殖し、固まることがあります。
この場合も安全性が確認された微生物ではないため、危険性が高いと考えられます。

――これは、なぜ固まるの?

微生物がpHを下げることにより、たんぱく質が凝固することが一般的です。

――「発酵ではなく腐敗している」という声もあるけど、どう違う?

基本的には発酵も腐敗も微生物が引き起こす現象であり、仕組みに違いはありません
人が食品として微生物を利用したものを発酵とよび、意図せず食せない状態になったものを腐敗と呼ぶことが多いと思います。

――「豆乳ヨーグルト」か「 食べられない固まった豆乳」か見分ける方法は?

見た目だけでは、見分ける方法はないと思います。
安全性の確認ができていない微生物で固まったものを食することはお勧めできません。

――要するに「豆乳ヨーグルト」と「 食べられない固まった豆乳」の違いは、 安全性の確認されている「菌(微生物)」を使うか否かの違いなの?

一言で返答するのであれば、Yesとなります。
ただし、作製した人により「腐敗ではなく発酵」と判断する場合もあるかもしれません。

弊社の「豆乳グルト」を含めた、「豆乳ヨーグルト」は、各メーカーが安全性を担保して販売しています。
自作の場合でも、市販されている菌で作製した場合は、安全である可能性が高いです。
見た目や臭いについても人により判断基準が異なると思いますので、一概に腐敗と判断することはできません。
アボカドや桃の種のような、菌の種類や性質がわからない場合は、メーカーとしてはお勧めできません。


家庭で安全な「豆乳ヨーグルト」を作るには?

食べて安全な「豆乳ヨーグルト」と、そうではないものの違いは、安全性の確認されている菌か、そうではない菌かの違い…
言われてみれば当たり前だが、正直に言うと筆者はかなり意外に感じた。

ところで、マルサンアイは公式サイトのQ&Aの中で豆乳ヨーグルト(風のもの)の作り方を公開している。
作り方は次の通り。

1、豆乳と牛乳を2対1の割合で混ぜる
2、市販ヨーグルトを少し加えて混ぜる
3、牛乳のヨーグルトと同じようにすればできあがり


ものすごく「ざっくり」ではあるが、これならできそうな気がする。

――これって豆乳ヨーグルトなの?

弊社が販売している「豆乳グルト」とは異なるものです。
牛乳のヨーグルトを種菌として使用した場合、豆乳だけでは発酵しない可能性があります。
したがってQ&Aでは豆乳と牛乳を混ぜたものを発酵させています。
弊社が販売している「豆乳グルト」は、乳成分を使用せずに乳酸菌で発酵させたものであり、乳アレルギーの方でもお召し上がりできます。

――豆乳ヨーグルトを作るには?

豆乳を発酵させる安全性の確認された乳酸菌などの微生物が必要になります。
全てではありませんが、牛乳のヨーグルトの乳酸菌は豆乳を発酵させることができないものがあります。
安全で豆乳をおいしく発酵させる乳酸菌の探索が必要になります。

――「豆乳ヨーグルト」は、液状の豆乳と比べてどう優れているの?

他社の豆乳ヨーグルトに関しては不明な点がありますので、弊社の「豆乳グルト」を例にして説明させていただきます。
豆乳は飲用で使用されることが多いですが、豆乳を乳酸菌で発酵させることによりヨーグルトと同じように食することができます。
また、大豆成分の特徴であるイソフラボンを乳酸菌がより吸収しやすい形に変えてくれます。

――今回のような騒動が起きないためには?

発酵と腐敗の違いのように、当人が発酵と言ってしまえばそのように伝わってしまいます。
販売されている発酵食品を何気なく食べていることも多いと思いますが、それらに使われている微生物のほとんどは安全性が確認されていることを知ってほしいです。

健康によさそうなものを自分で作れると聞くと、つい飛びついてしまう気持ちはわかるが、発酵食品の場合の注意点は「安全性の確認されている菌を使用すること」、「なるべく安全性の確認されている菌以外の菌の混入を防ぐこと」ということなので注意してほしい。
そして、ネットの情報には今回のようなデマ情報も含まれていることを理解しておくことも大事だ。

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