どっちが本物!? 羊毛フェルト猫が「リアルかわいい」と話題…でも視線が追ってくるのはなぜ?

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  • 特に何かをするわけでもない猫がTwitterで話題
  • 実は羊毛フェルトで作られた実物大の「サバトラさん」
  • どうやったらこんなにリアルに作れるのか?制作者に工程を聞いた

話題となった猫の正体は...

Twitter、Facebook、Instagramなどには、毎日のように新たな出来事が投稿され、動物の愛くるしい瞬間や面白い瞬間を捉えた動画や画像がアップされることも多い。

こうした中、Twitterに登場した、特に何かをするわけでもない“ある猫”が大きな注目を集めている。
まずはその姿を、実際に見ていただきたい。



投稿された動画には、ネコタワーにたたずむ一匹の猫が登場。

近づくカメラにも物怖じせず、大きな瞳でじっとこちらを見据えている。
視線だけは動くカメラを追っているが、口元を触っても反応がない。随分と人慣れしているようだ...

こんなに近づいても無反応

実は羊毛フェルトで作られた作品

驚くことなかれ、この猫、なんと羊毛フェルトで作られた作品である。
これは、羊毛フェルトアーティストのMiru.さん(@bebebe5353)が投稿したもの。「羊毛フェルトで作ったサバトラ猫やっと完成(о´∀`о)」とのつぶやきの通り、自ら制作した作品だという。

本物と見間違うほどのリアルさに、ユーザーからは驚きの声が続出。
・本物の猫で、フェルトはジョークだと思ってました。私、騙されてない?
・行儀の良い大人しい猫ちゃんだなぁ...えっ?
・本物を隣に座らせても分からないと思う

本物が座るとこうなります(右はmiru.さんの飼い猫「ぽぽ」ちゃん)

実際に、Miru.さんの飼い猫「ぽぽ」ちゃんと並んだ写真もあるが、ユーザーの言うように見分けがつかない。

そして、猫自体の出来映えもさることながら、印象的だったのはその瞳。
動画ではカメラが左右に動いているが、何回見ても猫の視線が追ってきているように見える。正直筆者自身も、心のどこかで「実は生きてるんじゃ...?」と思ってしまうほどだ。

左右どちらもこちらを見ているように見える

この投稿は6万以上のリツイートと15万以上のいいねを記録。
動画の再生回数も200万回を超えるなど、大きな反響を呼んでいる。(5月17日現在)

これほどまで精巧なフェルト作品は、どのようにして作られたのだろうか。
制作者のMiru.さんに話を伺った。

これまで150体以上を制作

――フェルト作品を制作しているのはなぜ?

昔から物作りが好きで、2010年に羊毛フェルトと出会ってから魅力のとりことなりました。独学で猫・犬など150体以上を作り、展示会などにもたまに出品しています。

普段は縦横20~25センチくらいの作品を作っていますが、より細かい描写をすることでスキルアップにつながるのではないかと、実物大の作品を制作しました。

今回のフェルト猫は、庭にたまに遊びに来る地域猫のサバトラさんをモデルとしています。サイズは幅約20センチ、高さ約38センチ、奥行約28センチです。重さは980グラムです。

miru.さんの別作品

――作品はどう制作している?

モデルになるかわいい動物を、実物や写真などで観察するところから始まります。
実際の制作では、ワイヤーの上にベースとなる綿のような羊毛を巻き付けて固め、その上から植毛用のストレートな羊毛を植え付ける「植毛」という作業を行っていきます。

私が最初に作る顔部分で説明すると...

1.顔のベースを作る
2.肉付けや目の接着
3.植毛用の羊毛を植える
4.余分な部分のカット

このような過程を繰り返して制作を続けます。
作品当たりの制作時間は、普段の20~25センチサイズであれば、80~100時間くらいです。
実物大はサバトラさんを含めて3体制作しましたが、200~250時間くらいかかります。

体部分の植毛作業の様子

視線が追ってくるのはなぜ?

――動画では猫の視線が追ってくるように見えたが、これはどんな仕組み?

目の部分は、市販のガラス素材でできています。球体に近い半球となっていて、奥に模様があると追視するように見える仕組みです。このガラスの裏側に、一つ一つ手書きで着色しています。結構面倒な作業ですが、作品のポイントの一つです。

上:粘土で手作りした鼻 下:ガラス素材の目

――制作でこだわったところはある?

今回のサバトラさんでは、本物の猫に近づけるよう、実家の飼い猫と同サイズにしました。
また、毛並みのしま模様の表現もこだわりました。羊毛フェルトは微妙な色合いの素材がないため、複数の素材を混ぜ合わせて色を作り、背中の模様は黒が強いしま模様、お腹は薄いグレーなど、濃淡を付けて植毛するよう心がけました。
このほか、前述したガラスの目、樹脂系の粘土で手作りした鼻なども頑張りました。

植毛用の羊毛フェルト

飼い猫は「ほぼ無反応」…

――サバトラさんとはどんな関係?飼い猫は作品にどんな反応をした?

私が住む地域では、野良猫に避妊・去勢手術をして元の場所に帰す活動をする方がいるようで、近所にはそのような地域猫がたくさんいます。その中でも縄張りがあるらしく、自宅の庭には黒猫・茶トラ・サバトラの3匹が遊びに来るので、モデルにしようと思いました。サバトラさんは警戒心が強いため、写真がないのが残念です。

家では3匹の保護猫を飼っていますが、制作過程を見ているせいか、作品にはほぼ無反応です。
作品の首部分が転がっていようが、完成していようが変わりありません。たまにクンクン匂いを嗅ぐくらいですよ(笑)。

miru.さんの家を覗く地域猫の茶トラさん(フェルトではありません)

――作品の注文はできる?実物大の作品は?

申し訳ありませんが、今は作品のオーダーをストップしています。(2019年5月現在)
注文分を制作してから、その都度依頼を募集していて、2019年中は次回募集が難しい状況です。
実物大の作品は基本的には受け付けていませんが、将来は受注できるようにしたいですね。

作品の価格は必要な作業量などで異なるため、作品ごとに異なります。
以前は通常サイズで17万円くらいの価格がつきました。


――大きな反響を呼んだことをどう思う?

羊毛フェルトや私の作品に興味を持っていただき、ありがとうございます。
羊毛フェルトの制作はとにかく時間がかかり、根気がいる作業です。肩もすごく凝ります。ですが、失敗してもやり直しがきき、ぬいぐるみよりも細かい表情が作りやすいように思えます。作品自体にあたたかみが出るのも魅力ではないでしょうか。

オーダーを受けた作品を制作するときは、とても神経を使います。ですが、完成した作品を顧客に見せたとき、すごく喜んでいただけたり、感謝されたりすると「こんなに人に必要とされる仕事はない」と大きなやり甲斐を感じています。

犬の作品も本物さながらの出来映え

誰もが驚く精巧なフェルト作品には、動物を愛するmiru.さんのこだわりが隠れていた。
猫や犬の思い出をよりリアルな形で残したいと思っている人にはピッタリだが、新規受注はストップしているそうなので、もうしばらくお待ちいただきたい。