「どのツラさげて…」菅元首相らの“上から目線ツイート”に大ブーイング 野党内紛助長で「もう一回お遍路行け」

政治部
カテゴリ:国内

  • “長老議員”のつぶやき「解散を」「壊滅しただろう」
  • 「もう一回お遍路に」国民民主党の強烈な反撃
  • 立憲民主党幹部からも「迷惑な発言」

統一地方戦での「明暗」に“過去のリーダーたち”が発信 

統一地方選の前半戦が4月7日に終わった。野党では事実上の旧民進党分裂から初めての統一地方選に臨んだ立憲民主党と国民民主党は明暗が分かれる形となった。しかしその選挙結果を受けての“長老議員”のつぶやきが物議を醸し、“場外戦”の様相を呈している。

結党から1年半で統一地方選に挑んだ立憲民主党は、41の道府県議選で改選前の89議席から118議席、17の政令市議選で改選前76議席から99議席に伸ばした。大躍進とまでは言えなくとも、地方組織の足場づくりを進めることに成功し、一定の「善戦」といえる結果だ。
一方、民進党の後継政党である国民民主党は道府県議選で改選前の142議席から83議席に、政令市議選では改選前の58議席から33議席と大きく減らす結果となった。

この結果を受けて“過去の野党リーダー”たちが立て続けに発信した。立憲民主党の菅直人元首相は、ツイッター上に次のように綴った。

「統一地方選前半が終了し、参院選までに進める野党再編の道筋がはっきりしてきました。小池都知事が結成した希望の党と民進党が合併した国民民主党は、政治理念が不明確なので解散し、参院選までに個々の議員の判断で立憲との再結集に参加するのが望ましい」

要は国民民主党に解散するよう求めたのだ。

菅直人氏のツイッター

また、維新の党代表や民進党代表代行を歴任し、現在は立憲民主党の会派に所属する江田憲司氏も、ツイッターに次のように記した。

「昨日投開票の神奈川県の県議、横浜・川崎市議選等。地元新聞が報じているとおり『自民堅調 立民躍進 国民苦戦 大物も落選』です。立民がもっと積極的に候補者をぶつけていたら国民民主は壊滅したことでしょう。これをきっかけに立民中心の野党結集になれば良いと思います。」

このように、こちらも国民民主党をこき下ろすような投稿をした。

江田憲司氏のツイッター

「もう一回お遍路に」強烈な反撃を受け… 

こうして“長老議員”からやり玉に挙げられた国民民主党は選挙結果をどうとらえているのだろうか。

玉木代表は10日の会見で、統一地方選の道府県議選の結果について、国民民主党の党籍を持ちながら無所属で出馬した議員を含めると、改選前の議席数に近い135人が当選したことを明らかにし、当選率は民主党時代の前回2015年より高かったことを強調。「『国民民主大幅減』という報道もあるが、都市部では苦戦したものの全体としてはかなり踏ん張った。県連としては議席を増やしているところもある」と前向きに総括した。

国民民主党・玉木代表の記者会見(4月10日)

そのうえで、「今回わが党が減った、立憲が増えたということよりも、旧民主で足して(前回より)減っていることが、実は本質的な問題だ」と指摘し、道府県議選・政令市議選で立憲・国民両党を合わせた当選者数が333人にとどまり、前回選挙での民主党の391人と比較し、大幅に下回ったことを問題視した。

一方、菅元首相の「国民民主党は、政治理念が不明確」とのに主張に対しては「わが党の理念は明確で、多様性や包摂といったことを重要視する政党」と反論。江田氏の投稿も含め、「わが党のことを気にして頂いている元党首経験者が多いなという印象」としながら、次のように述べた。

「野党の中でどちらが勢力を得るかは、多くの国民には関心がないと思う。数の力でどんどん前に進める安倍政権に対する緊張感をどう作っていくか、そのための野党の力合わせ、結集を国民は求めていると思う。あくまで安倍政権を向いて、どうするのかを考えていくのが大事だ」

“長老議員”が噛みついてきたのに対し、スマートに受け流した形だ。

ただ、関係者によると、玉木代表は菅元首相に「もう一回、お遍路を回った方がいいですよ。煩悩が残っているようなので」と声をかけたという。かつて年金未納問題が生じ党首を辞任した際に、四国八十八番札所を歩き通す「お遍路」を行った菅元首相に対する強烈な皮肉だ。

お遍路姿の菅元首相(2004年7月)

さらに自身の選挙区がお遍路のルートでもある香川県の玉木代表は「よかったらアレンジしましょうか」と提案。
これには菅元首相も「お騒がせしています」と応じるしかなかったという。

負のイメージ・多弱…野党の「イマ」の元凶は? 

国民民主党に厳しいつぶやきを発した2人は、そもそもどういう人物だろうか。

菅元首相は、市民運動家出身で、当選13回の大ベテラン。2009年に政権交代を成し遂げた旧民主党の中心メンバーで、2010年には94代目の内閣総理大臣に上り詰めた。しかし、この年の参議院選挙で突如、消費税10%引き上げに言及するなどして敗北。旧民主党勢力の転落のきっかけとなった。

さらに、福島第一原発事故をめぐっては、官邸を留守にして現地入りしたことなどが「指揮系統を混乱させた」との批判を受け、民主党政権の「負のイメージ」を強く印象づけたことは否めない。現在もかなりの国民が抱いている「旧民主党の勢力には政権を任せられない」といった見方の“元凶”の1人ともいえるのではないだろうか。

東日本大震災後、会見する菅首相(当時)(2011年)

一方、江田氏は通商産業省(現・経済産業省)の官僚出身で、橋本龍太郎元首相の秘書官を務めた経歴などから「政策通」と目される議員だ。2002年に無所属で初当選した江田氏は、みんなの党→結いの党→維新の党→民進党と渡り歩き、現在は、党籍はないが国会では立憲民主党の会派に所属している。過去に所属したいずれの党も分裂あるいは消滅しており、野党結集を主張してはいるものの、組織の一員としての人望が厚いとはみられていない政治家だ。

江田憲司氏

このような2人に向けられる国民の目は厳しいようだ。
菅元首相へのリツイートを見てみると、次のような言葉が並んでいる
「偉そうにどのツラ下げて言ってんだか」
「何を言っているのか分かりません。敵は国民民主党ではなく安倍自民党であるからです」
「あなたはもういいから」
「菅直人議員の引退の方が国民に望まれているんじゃないですか」

江田氏に対しても次のような具合だ。
「自民を倒さなきゃいけないのに対立したり他の野党を侮辱する発言しても何も得しないぞ」
「もと仲間たちをなんとも思っていないこの発言」
「協調性皆無だな」
「議員歴の長い方こそ、危機感をもって大局を見ていただきたい」

“長老”仲間からも苦言…深まった「溝」 

菅元首相や江田氏とともに長年にわたり自民党と対峙してきた他の“長老議員”も苦言を呈している。

「たまたま支持率が高い方の野党が“上から目線”で物事を言うということは、周りの人たちを傷つけることになる。いちばん慎重にならなければいけない発言の種類だ」(4月11日・野田前首相)

野田前首相(4月11日)

「(菅元首相の発信は)決していい発言だとは思わない。むしろ、かなり言いすぎている。慎むべき話だ」(4月11日・岡田前副総理)

岡田前副総理

当然、国民民主党内には菅元首相らのツイッターでの主張に反発が広がっている。参院選に向け候補者の一本化など野党共闘を進めなければならない繊細な時期だけに、立憲民主党のある幹部は「迷惑な発言だ」とため息を漏らした。

本来、長い政治キャリアで培った「知恵」を生かすべき立場の“長老議員”によるつぶやきは、かえって立憲民主党と国民民主党の間の溝を深めてしまったようだ。また、国民民主党と自由党の合流も行き詰まりを見せており、野党「再結集」の道のりは困難を増している。

野党は「多弱」の現状をどう打破していくのか。統一地方選の後半戦と同日の衆院補欠選挙、そして夏の参院選を目前に控え、残された課題はあまりに多い。


(フジテレビ政治部 野党担当 空閑悠/羽山寛/古屋宗弥)

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